【ONE SHIP事例】ビジネスを加速させる「運命のパートナー」の見つけ方
ソフトバンクとイノベーションを目指す企業がICTで連携するビジネスパートナープログラム「ONE SHIP」。
本記事では、ソフトバンクが自らの課題をONE SHIPパートナーとの共創によって解決した事例を紹介する。
PROFILE

桐島 実男
株式会社サイト・パブリス 執行役員 / Webインテグレーション事業部 事業部長
中堅SIerで首都圏の営業責任者として、SITE PUBLISの販売および構築に携わる。
その後、ミックスネットワークにて、首都圏の営業責任者として従事。
現在はサイト・パブリスの営業責任者としてSITE PUBLISの営業活動に従事。

鈴木 善敬
ソフトバンク株式会社 法人プロダクト&事業戦略本部 法人サービス施策推進統括部
法人サービス企画推進室 イノベーションパートナー推進課
国内ソフトウェアメーカー勤務を経て、ソフトバンクBB(現・SB C&S)に入社。
国内外のネットワークセキュリティ製品の国内仕入・B to Bマーケティングを担当。
2016年 ソフトバンクへ異動しモバイルセキュリティサービスの国内サービス立ち上げに従事、
その後、構想段階から現在にいたるまで「ONE SHIP」の企画・運営を担当
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進にあたり、自社のリソースだけで完結できるという企業は少ない。事業提携、業務委託、サービス利用など、程度の差はあれ、ビジネスパートナーとの連携は不可欠だ。
IT分野に限ったとしても、日本には受託開発ソフトウェア業で17,679パッケージソフトウェア業でも759もの企業がある(独立行政法人情報推進処理機構『IT人材白書2020』より)。無数にある企業の中から「運命のパートナー」を見つけるのは簡単な話ではない。
※ 出典:独立行政法人情報推進処理機構『IT人材白書2020』
2019年2月、ソフトバンクはビジネスパートナープログラム「ONE SHIP」を開始した。新たな価値創出のため、課題を抱える企業とソリューションを提供する企業が集う場だ。
ONE SHIPの運営を担当する、ソフトバンク 法人プロダクト&事業戦略本部の鈴木善敬は会員向けポータルサイトの必要性を感じていた。
「これまでオンラインを中心にワークショップやイベントを企画してきましたが、それらを含むさまざまな取り組みを伝える手段がメールしかありませんでした。
しかし、メールは流れていってしまう一過性の媒体。見逃せば、会員がその情報に接触することはなくなってしまいます。そこで、会員企業の皆さまが、いつでもONE SHIPの情報にアクセスできる場所が必要だと考えました。
また、ONE SHIPには全国津々浦々、さまざまなジャンルのパートナーにご参加いただいております。メールでは、テキストで企業名をお伝えすることぐらいしかできません。パートナーの皆さんをきちんと伝える。その視点からもポータルサイトは必要だと考えました」(鈴木)
まず鈴木はソフトバンク社内の内製でポータルサイトを構築することを考えた。社内SEに依頼し、一応のポータルサイトを作り上げたが、そこで新たな課題にぶつかる。
「ポータルサイトが出来上がったところまでは良かったんです。でも『(構築を担当した)彼が社内にいなくなったら、システムが完全にブラックボックス化してしまうのでは』と、気づいたのです。
『とにかく作らなくては』ということで進めていましたが、運用まで頭が回っていなかったんですね。そこで多少のお金を払ってでも、外部のCMSを導入しなければならないという結論に至りました」
通信事業者でもあるソフトバンクには、システム導入にあたって厳しいセキュリティ要件がある。システムの強度、リカバリーの早さなどを勘案し、ツール選定は国内のベンダに絞った。
しかし、国内でもさまざまなベンダがいる中で、信頼できるソリューションを見つけ出すのは簡単ではない。
そこで鈴木は自らが運営を担当するONE SHIPの会員企業から、パートナーを選定することにした。そこで、見つけたのがサイト・パブリス社のCMSだ。
「これまでパートナー探しをどうしていたかと言うと、Webで検索するしかありませんでした。しかし数あるWebサイトの中から1つを選び抜くのは簡単ではありません。
ONE SHIPというプラットフォームを作っておいて良かったと実感した瞬間でもありますが、データベースを覗けば、すぐに要件に当てはまるパートナーが見つかるんです。
また、すでにONE SHIPへの参加を表明してくださっている企業なので、話をもちかけるととてもスムーズに話が進みます」(鈴木)
一方で、ソリューションを提供する側の企業にとって、ONE SHIPはどのようなメリットがあるのか。
サイト・パブリス社は2003年から国産のCMS「SITE PUBLIS」を開発・提供する。同CMSは、国産の商用版では最も古くからサービス提供しているものの1つだと言う。保守も全て日本人スタッフによる対応で、その安定性から中央省庁でも採用されている。
同社のビジネスのプロセスは大きく2パターン。直接企業から問い合わせが来てCMSとWebサイト構築等をセットで提供する場合と、Webサイト構築の依頼を受けたSIer及び制作会社などのパートナーから依頼を受けて、CMSを提供する場合だ。
サイト・パブリス社の執行役員であり、Webインテグレーション事業部 事業部長の桐島実男氏は次のように語る。
「弊社はWebサイト経由で直接お問い合わせいただく場合も多く、おかげさまで高い確度で受注させていただいております。一方で、パートナー企業からの案件紹介については、知り合いの企業や一部の大手SIer様に限られているのが現状で、まだまだ開拓の余地があるのではとも考えていました。
CMSはWordPressが80%のシェアを有しており、日本に上場企業が3,700社ある中でも商用版を導入している企業は20%に満たない割合です。せっかくよい国産のCMSがあるのだから、上場企業の皆さんにもっとご利用いただきたい。そういう意味でも、パートナー企業を増やしていくことは、今後の重要な戦略になると思っています」(桐島氏)
また同社は今回のプロジェクトではCMS導入のサポートとして参画したが、サイトの構築やコンテンツ制作などのカスタマイズも請け負う。場合によっては上流のマーケティング部分から相談されることもあるという。
ONE SHIPでのパートナーシップにおいては、セールスパートナーだけでなく、ソリューションパートナーとの出会いにより、顧客企業へ提供できるソリューションの幅が広がることも魅力に感じているという。
「弊社のCMSは柔軟なカスタマイズが可能なので、多くのお客様が他サービスと連携して利用されています。基幹系システム、販売管理システムなど、さまざまなサービスと連携することができます。
『SITE PUBLIS』自体はサイトの更新に特化したCMSなので、MAやSFAなどといったツールは実装していないのですが、そういった要望がお客さまから私たちに届くことは非常に多いです。
CMSは、さまざまなデジタル施策のハブになる存在なんですよね。MAツールを導入してからCMSを選ぶというお客さまはあまりいらっしゃらなくて、大抵がCMSを選んでからその他のツールの選定に移ります。
そういった意味で、弊社及び弊社のCMSが入り口になって、さまざまなデジタルパートナーのサービスをつなげることができればと思います」(桐島氏)
こうしてONE SHIPパートナーとの共創によるONE SHIPポータルの開発がはじまった。果たして、今回のパートナー選定は「アタリ」「ハズレ」どちらだったのか──。
「今回採用した『SITE PUBLIS』は更新に特化したCMSというのがポイントでした。私たちの目的はWebサイトを美しくつくることではなく、情報を伝えるということがまず第一。あまりいろいろなことを気にせず簡単に更新できるという点が非常によいと感じました。
また、私たち自身がWebクリエイターではないので、専門用語で話をされるとわからないことも多いのですが、今回は桐島さんがとてもわかりやすくビジュアルに落として提案してくださったので、私たちは『よい』『悪い』などの意見を言うだけでサイトが出来上がっていたという印象です」(鈴木)
「そうですね、エンジニアではなくビジネス部門の方ということで、私もその想定で会話をさせていただきました。
また機能面でもビジネス部門の方が更新するという前提で開発をしました。サイトにパートナー企業のロゴを掲載しているのですが、そちらの更新もCSVに入力すると自動で更新されるようにしています。
Webサイトは作ったら終わりのように思われがちですが、本当は作ってからがはじまりなんです。更新をどれだけ楽にして、運用にスピード感をもたらすか。多くのCMSメーカーはシステムを渡して終わりかもしれませんが、私たちは運用まで、そしてサイトの成長まで伴走させていただいています。そこが弊社の一番の強みかもしれません」(桐島氏)
ソフトバンクとサイト・パブリス社は、ONE SHIPのポータルサイトでの共創を皮切りに他プロジェクトでのコラボレーションも開始している。すでに西日本の大手メーカのプロジェクトにともに取り組んでいるという。
さまざまな特徴を持つ企業が集まり、つながり、企業とその先にある社会の課題を解決していくONE SHIP。そんなONE SHIPのポータルサイトもまた共創により生まれた。今後はポータルサイトを軸に、より一層パートナーどうしのつながりを強めていくという。
「今後は会員企業のより詳細なビジネスやソリューションがわかるように、ポータルサイト内で情報発信をしていきたいと考えています。『このサービスを使ってみたい』という会員企業どうしのつながりが、ポータルサイト内で自然と生まれるようにしていきたいです」(鈴木)
「ONE SHIPに入って、自分たちのビジネスチャンスが広がっていく可能性を感じています。今回ポータルサイトのCMS導入をご一緒させていただいたことで、ONE SHIPのこともよくわかりました。これまでは出会えなかったようなパートナーさんと出会える予感がありますし、今後が楽しみです」(桐島氏)
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