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ONE SHIP 技術セミナー ~5Gコンソーシアムが導くIoT社会のこれから~

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2021年08月31日(火)

5G Consortium

社会全体における5G(第5世代移動通信システム)の普及を加速させ、5Gによる課題解決を促進するために、2021年6月にソフトバンクが設立した「5Gコンソーシアム」。5Gサービスをより活性化させていくため、各領域の企業、5Gサプライヤー、ソリューションパートナーをはじめ、各業界の有識者や企業が集まり、情報共有や実証実験を行う組織として活動している。

 

今回、5Gコンソーシアム会員向けに開催した本セミナーでは、5Gの最新技術を活用し、各業界の成長や変革を促進するための技術概説や事例などを展開。セミナーは2021年7月20日にウェビナー形式で開催された。

 

登壇者は、ソフトバンク株式会社 5G&IoTソリューション本部 技術企画戦略統括部 技術企画部 技術企画課 課長 中森真氏。ソフトバンクの5G戦略や、プライベート5Gをはじめとするネットワーク技術の解説、実証実験の実例紹介などをテーマに講演を行った。

SECTION.01

5つの領域で課題抽出や解決策の検討、実証実験などを行う「5Gコンソーシアム」

コンソーシアム設立の狙い

セミナーの第1章では、5Gコンソーシアム事務局から、コンソーシアムの狙いについて紹介された。 ICTのさらなる技術進化や高度化が期待される中で、社会の重要なインフラとしての役割を担うのが、2020年3月にスタートした5Gサービス。その5G技術が社会の有用な基盤となり、各業界の成長を促していくための実証実験や、具体的なユースケースの構築といった動きを加速させるため、コンソーシアムが設立されたという経緯を説明した。


「5Gコンソーシアム」は、製造・運輸・建設・医療の各領域にスマートシティを加えた5つの領域を取り扱い、業界・事業課題の抽出、解決方法の検討を実施。実証実験を進め、解決策のモジュール化を目指した横展開も促進している。


コンソーシアムの組織としては、製造・運輸・建設・医療領域を中心に10〜15のワーキング(以下WG)を設置し、外部の有識者を招聘。コンソーシアム会員の一部サプライヤー企業が、WGメンバーとして活動に参加している。その他の会員に対しては、会員限定ページにてWGの情報を公開する。


さらに事務局によると、会員向けの情報共有としては、WGに関する活動の情報共有にとどまらず、今回の技術セミナーのようなコンソーシアムイベントも随時開催するという。「5Gをはじめとしたさまざまなビジネスの検討にも活用していただきたい」と紹介を締めくくった。

SECTION.02

10年ごとに進化を続けるモバイル技術と5G。2030年には6G時代に

モバイル技術の進化

第2章の「5Gの特長」に関する解説からは、技術企画部の中森氏が講演。5Gの技術解説やその特長、ソフトバンクの戦略などについて解説した。


導入では、2020年から開始された5Gから遡り、3Gや4Gなど各世代の歴史を踏まえながら、モバイル技術の進化は10年ごとに更新されていくという流れを紹介。2030年に到来するであろう6G時代も見据えながら、次の10、20年を担うシステムの進化、改良の必要性を語った。

5Gに期待される3つの特長と今後の展望

5Gの3大特徴(3GPP規格)と提供中サービス

5Gの3大特長として「超高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」の3つを挙げた中森氏。中でも注目は、4Gの20倍となる「超高速・大容量」である。ソフトバンクではすでに、Sub6周波数帯の3.9GHz帯、mmWave周波数帯の29GHz帯の2つのサービスを展開している。なお、CC(Component Carrier)やレイヤについては、ソフトウェア更改により変更がある旨を注意点として添えた。


「超低遅延」「多数同時接続」については、導入に向け、サービス内容が検討されていると説明。特に「多数同時接続」については、LTE通信規格であるNB-lotの発展形として、5Gの「多数同時接続」によってどのようなサービスが提供できるかという可能性について、議論・検討を重ねているということも明かした。

ソフトバンクが保有する5Gの周波数

5G割り当て周波数一覧

ソフトバンクにおける周波数の割り当ては、Sub6の3.7GHz帯の周波数帯では3.9~4.0GHz、mmWaveの28GHz帯(ミリ波)の周波数帯では29~29.5GHzが該当する。ローカル5Gにも周波数の割り当てがあるものの、屋内や地域限定など制限が設けられていることを説明した。


5Gに割り当てられた新周波数の制限


5Gのエリア展開において、それぞれ周波数の特長に応じた制限がある。例えばSub6 3.7GHz帯の場合、設置にあたっては、衛星放送設備に干渉しないよう干渉調整を行う必要がある。また、Sub6 4.5GHz帯においては、自衛隊設備との干渉調整が必要に。mmWave 28GHz帯については、干渉調整は不要だが、広範囲のエリアをカバーするためには大量の基地局設置が必要になるという注意点も付け加えた。

既存周波数の「5G化」で実現する快適なネットワーク環境

ソフトバンク 既存周波数の5G化

ソフトバンクが保有する周波数帯のうち、5G用に割り当てられた新周波数は、既存の周波数と比べて帯域幅が広く、超高速・大容量が可能となるというメリットがある。反面、高周波数であるため干渉が大きく、エリアカバレッジが狭くなるというデメリットがあると語る中森氏。


そこで「既存の周波数帯を『5G化』し、広くエリアカバレッジを構築する」という戦略を表明した。既存の周波数を活用し、面で5Gを構築することにより、トラフィック需要が高いエリア、つまりユーザが多いエリアを「SPOTエリア」、「大容量エリア」としてカバーするという。こうした戦略でエリア展開を進めることにより、快適な5Gネットワーク環境の展開を進めている。


既存の4Gを「5G化」するにあたっては、既存の4Gユーザへの影響が少なからず発生する。その影響を最小限に抑えるために、4Gと5Gで同一周波数を共有する仕組み「DSS(Dynamic Spectrum Sharing)」の導入が検討されていることも明らかに。今後は「DSS」のような機能も活用しながら、既存周波数の有効活用を含めた5Gサービスの提供を視野に入れていると言葉を添えた。

ネットワーク遅延の課題を解決する新たな機能「MEC」

5Gに期待する超低遅延と通信の遅延発生要因

5Gに期待される重要なサービスの1つが「超低遅延」である。そもそも遅延を引き起こす現象としては、2つの要因が挙げられると中森氏。1つ目は「物理的な距離」。端末から集約局舎、さらにデータセンター、インターネット側のクラウドであるアプリケーションサーバに至るまでに、数ms~数十msという次元で遅延が発生している。2つ目は「処理時間」。端末側とアプリケーションサーバ側での処理時間が、大きな遅延要因となっている。5Gにおいて超低遅延のサービスを実現するにあたっては、特にアプリケーションサーバ側の処理を最適化する必要がある。


MEC (Multi-access Edge Computing)


中森氏によると、物理的な距離を短くし、超低遅延サービスを実現するためには、MEC(Multi-access Edge Computing)機能の活用が有効であるとのこと。物理的な距離を短くし、ユーザ端末に近い場所でデータ処理を実施することで、インターネット側のクラウドと通信するよりも短時間で処理することが可能となり、遅延を最小限に抑えられるという理論を展開した。

SECTION.03

企業のニーズに応える新マネージドサービス「プライベート5G」

Private 5G 2022年度より提供予定

ソフトバンクが提供する、企業向けの新たな5Gマネージドサービス「プライベート5G」。2022年度のサービス開始に向けて、準備が進められている。この「プライベート5G」は、企業の敷地内に専用の基地局を構築することが特長。さらに、その基地局について、ソフトバンクが設置工事、保持、運用まで対応する仕組みとなっている。中森氏は「専用の設備を、企業が希望する場所に設置・構築するため、必要な通信容量やエリアカバレッジが確保できる」という特長についても説明した。

専用の環境構築により、個別の要望に対応するプライベート5G

5Gネットワークの種類と活用手法

5Gのネットワークには、すでにサービス提供が開始されている「パブリック5G」「ローカル5G」があり、2022年からは「プライベート5G」が加わって3種類になる。「パブリック5G」はすでに全国的な展開を始めているが、既存のエリアカバーがベースとなるため、特定の施設内の通信環境に必ずしも適応できるわけではなく、多様なニーズに的確に応えることが難しいケースもある。


対して、個別のネットワークを構築できるのが「ローカル5G」、「プライベート5G」である。これらは、企業ニーズに合わせ、専用の設備、環境をつくることが可能。特に「プライベート5G」については、構築から運用までをソフトバンクが実施するという点も独自性の1つとなっている。


プライベート5Gで実現する低遅延の提供


さらに、企業の施設内に「プライベート5G」の基地局とサーバを設置することで、より低遅延なネットワークを実現。「パブリック5G」と比べ、エッジ側で処理することによってトータルで低遅延のネットワーク提供が可能になる。中森氏は「専用の設備内にサーバを設置することで、一括で処理が完結するだけではなく、施設からデータを持ち出したくないというニーズにも応えることができる」とメリットを強調した。

「プライベート5G」への期待が高まる、製造業でのユースケース

製造業におけるユースケース

このような「プライベート5G」のメリットについては、例えば製造業や物流の業界などから、高い関心が寄せられている。


製造業においては、かねてより有線から無線化への転換に関するニーズが高く、そういった要望への適応が挙げられる。無線化することにより、工場のレイアウト変更のたびに必要だったケーブル配線などの作業・工事が不要に。他にも、さまざまなケースに対し、柔軟に構成できることが強みだ。


さらに、作業員への技術支援の面でも大いに優位性を発揮する。設備機器を用いた作業・操作の手順をARで重ねあわせて投影することにより、若手作業員などに向けて、ノウハウを含めた技術伝承が容易に。また、大容量の画像解析によって、工場内の危険検知や外観検査の効率化にも貢献することが期待されていることなど、多様なニーズへの対応や具体的な利活用法が語られた。

SECTION.04

実証実験で明らかになる、5G活用の利便性と将来性

5G ユースケース一覧

製造業や物流業の例にとどまらず、自治体や小売業、建設業などさまざまな分野で5Gを活用したユースケースが挙げられている。


多様なユースケースの中から、今回のセミナーでは5Gを活用した実証実験の例が3つ紹介された。

事例:物流トラックの隊列走行

事例:物流トラックの隊列走行

1つ目は、物流トラックの隊列走行について。こちらは国土交通省からの受託により、2017年から3年間にわたって実証実験が行われた。


先頭の1台のみを有人運転とし、後続の2台を無人で自動運転に。車車間通信を用いて、先頭車両が操作するアクセルやブレーキペダルの制御信号、速度情報、位置情報などを後続車両にリアルタイムに伝達する。先頭車両と後続車両の、速度調整やハンドル操作を組み合わせて行うことができるという仕組みだ。


この実証実験は、2019年、静岡県内の新東名高速道路で約14kmにわたって行われ、一般車両も走行する中での走行に成功。無線区間では、1ms以下の車車間通信を実現した。


ドライバー1人で複数台のトラック運転が可能となることにより「大量の物資輸送時などに活用することで、物流業界の人手不足解消にもつながる」と、課題解決策としての可能性が中森氏から語られた。

事例:建設機械の遠隔操作

事例:建設機械の遠隔操作

続いて紹介された事例は、建設機械の遠隔操作である。この実証実験では、トンネルに向けてアンテナを設置し、トンネル横方向に電波を発射することで、施工中のトンネル内に5Gのネットワーク環境を構築する方法。


工事現場から遠隔地へ、リアルタイムに高解像度の映像を配信できることに加え、遠隔地からの操作によって、低遅延で工事現場内へ制御信号を送ることができる。


この仕組みを活用することで、トンネル内にいる人物の脈拍を計測したり、環境センサーによって有毒ガスやCO2の濃度を測ったりすることが可能となり、その計測結果を遠隔地へ伝送することもできる。トンネル工事の安全性向上に、大いに貢献する利活用法の1つとして期待が寄せられている。

事例:愛知県スマートハイウェイ

事例:愛知県スマートハイウェイ

続いては、愛知県のスマートハイウェイにおいて、IoTを活用した有料道路の管理効率化が検証された事例を紹介。この実証実験では、大きく3つのテーマを掲げて取り組みが進められた。


加速度センサーとしては、5GのIoT規格に準拠した通信モジュールである「mMTC(massive Machine Type Communication、超大量端末通信)」を内蔵することにより、橋梁の振動を監視。加速度センサーから得られるデータにより、リアルタイムで異常を検知することが可能になった。


また、5Gの高速大容量を活用した4K画質の映像伝送により、落下物などの危険を検出。4GのNB-Iotにより、ソーラーバッテリーやカメラを搭載した計測機器による交通量の計測も実施された。

SECTION.05

「5G化」により加速する、エリア拡大のロードマップ

5Gの展開計画

ソフトバンクでは、2020年3月のNSA(Non Stand Alone)サービス開始以降、2021年2月からは既存周波数を順次「5G化」。5月には全国47都道府県に対して、1万局を超える基地局の展開を実現している。


また、2021年度中にはSA(Stand Alone)でのサービスを開始し、基地局の規模としては全国5万局超、人口カバー率は90%超を目指すと発表。さらに2025年度には基地局数20万局超、2030年度には35万局超まで見込んでいる。

SECTION.06

「5Gコンソーシアム」の共創環境を充実させるソフトバンクのラボ環境

ラボ概要

最後に、ソフトバンクが手がけるラボについて、施設の概要が紹介された。


ソフトバンクでは、5Gコンソーシアムに参加する企業との共創環境拡充を目的として、東京「台場オープンラボ」と大阪「5G X LAB OSAKA」の2拠点にラボを設置。製品やサービスを開発し、検証する場として活用が期待されている。


利用にあたっては、2施設ともにオンライン予約が可能。「5G X LAB OSAKA」では、LTEについては4つの周波数帯に対応。5Gについては、Sub6周波数帯の3.9GHz帯の提供となっている。現在はパブリック5Gでの環境提供だが、プライベート5Gについても環境提供を検討中である旨が報告された。


なお、「5G X LAB OSAKA」は大阪市が管理主体となるため、今回のセミナーでは主に「台場オープンラボ」における利用環境などを中心に、施設の概要紹介ならびに分析、解説などが進められた。

ソフトバンク社外の企業もデバイス検証ができる「台場オープンラボ」

台場オープンラボ

台場オープンラボは2018年に開設。ソフトバンク社外の人も利用できる、デバイス検証ラボである。タブレットによってネットワーク環境の設定変更が容易にできる他、アッテネータによって電波が悪い環境のシミュレーションが可能となっている。


インターネット環境が整っているため、クラウドとつないだ接続試験や、ソフトバンクのネットワークとの接続試験、周波数の切り替えによるHandoverの動作確認などができる。


なお、MEC環境など利用者のニーズに応じた設備強化も、今後実施していく予定であることを表明。SAでのサービス提供についても、商用サービスの開始に合わせて準備を進めているという案内も加えられた。

ラボ環境の利用で可能性が広がる、さまざまなユースケース

ラボ施設のユースケース例

ラボ施設のユースケースとして、4つの例がスライド上で紹介された。また、中森氏は「挙げられた4つの例にとどまらず、商用と切り離された環境で、自由に5Gのネットワークが試せる施設として、ぜひ利用をしていただきたい」、「どのような検証をすべきかといった疑問や質問などに対するサポートが必要な場合には、施設を熟知した推奨ベンダを案内することもできる」と施設利用を促し、締め括った。

SECTION.07

質疑応答

質疑応答

セミナーの最後には、Q&Aに寄せられた質問に対して、中森氏をはじめソフトバンクのスタッフから回答が寄せられた。

──プライベート5GはSAになるのか

プライベート5Gは、SA方式でのサービス提供を前提に進めている。

──プライベート5Gで使用するUE(端末)は、パブリック5Gで利用する端末をそのまま利用できるのか

プライベート5Gでも、ソフトバンクの商用周波数と同様のものを提供するため、パブリック5Gで利用している端末は利用できる予定。仕様については検討中。

──プライベート5Gのコストが知りたい

詳細は未定。どのような形でサービス提供するかについて、2022年に向けて検討を進めている。

──車車間通信と自動運転を個別で実施する場合とを比較し、車車間通信のメリットはどこにあるのか

車車間通信による隊列走行の場合、先頭車両に必ず人が搭乗して操作するため、人工(にんく)がかかることにはなる。反面、人がある程度操作してコントロールできるという点をメリットと考えることもできる。双方、メリットデメリットがあると感じる。


自動運転が制度的に整う前段階として、人工を減らす手段という意味では、この隊列走行によるメリットはあると考えられる。さらに、完全自動運転が実現された際には、車車間通信の技術は、自動運転車両同士の相互の情報伝達にも利用できるなど、隊列走行以外の利活用という観点においても汎用性は高いのではないか。

── WGでは、実証実験の内容によってラボ環境を使用するのか、もしくは個別のユースケースとして利用する形になるのか

ラボ環境は自由に予約して使えるため、確認や検証が必要になれば、状況に応じて予約をして利用してほしい。

SECTION.08

「ONE SHIP 技術セミナー ソフトバンクの5G戦略と技術概説」を終えて

今後、本格的な普及期へと突入する5G。2021年度内にSA方式でのサービス提供や、2022年には人口カバー率90%超の実現を目指するなど、ソフトバンクの取り組みも加速している。そのような流れの中で、5G環境に関するさらなるサービス向上、利活用に関する画期的な検証、実証にも期待が高まっている。


ソフトバンクが目指す快適なネットワークの実現と、さらなるIoTの活用に向けた取り組みは、次世代を担う企業間のオープンイノベーションを目指すONE SHIPにおいても、今後ますます重要な役割を担うことだろう。

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